2011年9月2日金曜日

Sapporo.

ジメジメとした残暑が続く東京を飛び出して、新千歳空港行きの飛行機に乗った。新千歳空港から札幌へ向かう電車が、汽笛を鳴らして走っていくのに、まずはとても興奮した。

同じ日本なのに、札幌は違う季節だった。気温も湿度も、ちょうどいい。夏でも秋でもない、札幌の8月25日。初めての土地の、初めて吸う空気。

今回この旅を企ててくれたのは、THE NORTH FACEプレスの小口さん。つい先日、彼の誕生日でDJをした時に「札幌でDJする?」「行く!」とものの5秒でこの旅は決まった。そもそも2年くらい前に、札幌にあるクラブ"PRECIOUS HALL"の話を小口さんに聞いて以来ずっと、札幌への思いを馳せていた。音好きの先輩やDJに"PRECIOUS HALL"の事を聞くと、みんなが口を揃えて"最高に音がいい"と言うのだった。

きょろきょろしながら、初めての街を歩く。この土地に住む人の表情や話す言葉、建物やお店の看板、生えている植物や空の色、雲の形、etc...、をくまなく眺める。同じ日本でも、些細な違いを感じてわくわくするから、この瞬間はたまらなく好きだ。

ホテルについてPCを開き、少しだけ仕事をしていたら、古い友達が札幌に住んでいることを思い出した。連絡をして、すぐに会いに行った。ここでお互いの都合が上手に重なってタイミング良く会えるのも、五感が冴えている旅先ならではだなぁと思った。

夜中になってから、小口さん、ダイハードさんKAY-Tさんと、すすきのへ繰り出す。札幌の名ソウルバー"Jim Crow"へ。真空管のアンプから流れるアナログレコードの音と、オーナーの軽快なトークがお店を盛り上げていた。思わずiPhoneのボイスメモを回して、オーナーにインタビュー。店内ではスーツを着たサラリーマンが、音に酔いしれて踊っていた。すっかり酔っぱらってふわふわしながらホテルに戻って、さらにチューハイを飲んで眠った。


翌日は、朝から物凄いスコール。時計台通りからすすきのへホテルを移動。札幌の名レコ屋"Fresh Air"を少しだけ見て、HOKT氏が経営するショップとスタジオへ。「ダイハードが気合いを入れて何かすると、必ず大雨が降るんだ!」と、HOKT氏が言ってみんなが笑った。

お昼になって市場へ連れて行ってもらい、カニやメロンを見物し、サーモンとイクラとウニをいただいた。それから"MILK RECORDS"へ行き、しばらく長居。コーヒーを煎れてもらいながら何枚か試聴。7インチ3枚、LP5枚、どんぶり勘定で3000円!

夜になり、パーティ会場の"ACID ROOM"へ。サウンドチェックの最中に、針が壊れていることが判明したけど、エンジニアさんが見事に直してくれて感動! この日はアナログオンリーがコンセプトのパーティで、東京から持って来たヒップホップのレコードを、どきどきしながらかけた。TOM TOM CLUB、45KING、Stetsasonic、ODB、Countbass.D、etc...、昔から大好きなレコードばかり!

パーティの途中で"PRECIOUS HALL"への思いを断ち切れずに、地図を書いてもらって、探しに行った。迷いながらも何とか辿り着いたときには、「このクラブにどれだけ憧れていたか」をエントランスで熱弁してしまった。

階段を下りフロアへ降り立つ。気持ちのよいハウスミュージック。四方から音に包み込まれるような感覚。暖かくて丸みのある音質。爆音なのにちっとも邪魔にならない音。これこそ、今まで求めていた完璧な音場だと思った。8つのスピーカーを1つ1つ、見て触った。本当に触ってみたくなる音。1人でそんな行動をしてても、誰も不思議になんて思わない。フロアに居るみんなが音に夢中になっている。音の一粒一粒を一所懸命に浴びていたら、自然と涙が出ていた。

1時間くらい踊った後で、ふわふわしながらACID ROOMに戻った。ちょうどMUROさんがプレイ中で、いつもの聞き慣れた"クラブ特有"の爆音を聴いて、私はまた感動した。「エレクトロを通過した耳で聴くヒップホップが、ますますかっこ良く感じた」あの時と、似たような感覚。最上級の音場を体感したことによって、いつもの音場も今まで以上に魅力的に感じた。場に見合わないほど大きなサウンドシステムを入れた、クラブという個性的な音場がますます好きになった。そして、これからも貪欲に音楽を楽しむことを続けて行こうと思った。

すっかり札幌の皆さんと馴染み、朝まで踊って、早朝の出演者たちのBack to BackではMUROさんも参加。そんなことは札幌じゃないと起こりえないし、MUROさんからレコードを繋いだことは、お守りのように一生忘れないと思う。

朝は信じられないくらい美味しいミソバターコーンラーメンを食べて、そのまま空港へ。横浜アリーナのWIREへ向かい、まだまだパーティは続く。


札幌には、確かにSOULがあった。

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